黒田官兵衛と部下の扱い方

 

さて、前回は官兵衛の若者について語るお話でしたが、今回はそんな官兵衛がどのように部下を使っていたかが分かる逸話を一つ紹介しましょう。

ある時、黒田官兵衛は手塚という男に下屋敷普請の奉行に命じました。この手塚という男、心根は正直で真面目なの人間でしたが、ある欠点で中々出世に恵まれなかい人物でした。それを知った官兵衛、不憫に思って大事の奉行に起用したのです。

そんなある日、広間で官兵衛が近臣と碁を打っていると何か用があったのか手塚がやってきました。が、手塚は顔を赤らめてあたふたしているばかりで何も話さない。実はこの手塚の欠点とは、生まれつきどもり癖があり極度のあがり症だった事なのです。手塚を見て周囲の者が首をかしげていると官兵衛振り向きもしないまま

「材木が足りないなら金に糸目はつけないので、必要なだけ買ってよいぞ」

そう答えると、手塚は安心した様子で一礼をし、広間を去っていきました。

周囲が尋ねると、手塚は普請用の材木が足りないので材木屋で買おうか山から伐らせるかを尋ねに来たのだと官兵衛は答える。それに対しての答えは「いくらでも買え」との事だと言うが、周囲が聞きたいのはそんな事ではありません。官兵衛がなぜ言いたいことが分かったのかという事。果てには「なぜあんな不便な者をお使いになるのか?」と近臣が問いかけると

「根気良く付き合っていたら、言いたい事もやりたい事も大体解るようになった。確かに聞き取りにくいかもしれないが、仕事は長年真面目に務めてくれている。だったら言いたい事を理解するよう努めるのは、上に居る自分の領分である。」

そう答えた官兵衛に、周囲はひたすら尊敬の目を向けたそうな。

いやぁ、正に理想の上司と言わざるを得ない逸話ですね。しかしこれだけ目端が利く人間だと、逆にその上司はやりづらいのかも?そんな官兵衛の、部下との接し方でした。

 

2014年3月5日 黒田官兵衛と部下の扱い方 はコメントを受け付けていません。 黒田官兵衛