生き残った者の辛さ・1

さて、もう暫く岩屋城での話が続きます。今回は高橋紹運の家臣の、谷山鎮實、通称・谷山大膳という者の話です。大膳もまた紹運に仕える忠義の将でしたが、彼は岩屋城の戦いで討ち死をしていません。

彼は岩屋城の落城前日に、紹運の命令を受けて立花山城に使いに出ました。その後、決死の覚悟で島津軍の包囲網をかいくぐって岩屋城に戻りました。しかし大膳が帰ると、どうも岩屋城の様子がおかしい。何があったのかと思っている間に大膳は島津兵に捕まって、総大将の島津忠長の前に連れ出されました。

既に岩屋城は落城し、彼の主君である高橋紹運も自刃していたのです。

慣れ親しんだ城の落城、主君の切腹、仲間達の壮絶な討ち死にを知った時の大膳の心境とは、一体どのようなものであったでしょうか。一人生き残った彼の心の内は、量り知れるものではないかもしれません。

大膳は島津軍の尋問に臆する事無く自らの生命を名乗り、紹運の命を受けて立花山城に使いに出ていた事を述べました。その毅然とした態度に感じ入った忠長はその身を惜しんだようです。島津家に仕えてみたらどうか。もしそうしたのであれば、今までと同じだけの俸禄を与えて召抱えよう、と破格の申し出を大膳にしたのです。