生き残った者の辛さ・2

ですが大膳、忠長の誘いに、

「勿体ないお言葉ありがたく思います。ですが、この期に及んでそのような望みはありません。主君の最期に遅れ、お供が出来なかった事がただただ残念でなりません。お早くこの首をはねて頂きたく思いますが、最後にお願いしたき事がございます。私の首に、立花城からの返書がかけてあります。どうかこれだけは、私の首を落とした後、立花城に返して頂きたいのです。もしそれが叶わぬなら、武士の情けでございます。手紙をご覧になるのは私の首をはねた後にして頂けるように、お願い申し上げます。」

大膳は涙を浮かべてこう言いました。これを聞いた忠長もまた涙を流しながら、

「これぞ誠の武士である。その言葉、振る舞いで高橋紹運殿が如何なる名将であったという事がよく分かる。この者を殺してはならない。また、その書状も見る必要はないぞ。大切にしまって立花城へ帰られると良いだろう」

こう返しました。そして縄を解いて刀を返し、何と馬を与えて警護の足軽達までつけて立花城まで送り返したといいます。また、忠長はこの時紹運が自らに充てた手紙も大膳に持たせたとも、一緒に入っていた息子達への手紙を持たせたともあります。最後まで主君に忠義を誓うその様も、敵であれ礼儀を尽くすその態度もまた、双方共に立派ですね。