陣引きの際に

さて家臣一同は道雪の遺体の入った棺を輸送しながら陣を引く事に決めました。ですが敵は島津、背後を見せて退却するのですから追撃を警戒しながら陣を引き払わねばなりません。そして同時に退却時にどのような敵に襲われるとも限りません。立花家臣一同、主の棺を守るべく気合を入れ直し、一層の注意を払いながらの行動が開始されました。

しかし陣払いを開始して退却しているのに、何故か島津側から追撃がありません。ふと振り返り島津陣を見やると、そこには道雪の死を悼んで喪に服す島津勢の姿が。その中には道雪の死に涙を流す者すらいたようです。

また退却をする中でも、『あの道雪公の開陣である』と道中で矢の一本すらいられぬまま、無事主の棺を一行達は領内まで運ぶ事が出来ました。

その葬儀の時には敵対していた城の城主達自ら馬を飛ばして訪れ、遠方の者は弔いの使者を遣わすなどして立花城で誰しも道雪の死を悼んだようです。『道雪の死にいたって、それまで敵対していた人々が和睦の心を通ぜようとしている。これは尋常のことではない』。人々はそう噂しあったと言われています。東には弟の葬式で戦吹っかけた奴もいるというのに

そんな道雪の辞世の句。

「異方に 心ひくなよ 豊国の 鉄の弓末に 世はなりぬとも」

これからも当家は戦ばかりが続くであろうが大友家の敵に心を揺さぶられるな。決して大恩に仇で返してはならない。

敵味方全ての人に惜しまれた、忠節の徒・雷神立花道雪の最後らしい言葉です。


2014年4月25日 陣引きの際に はコメントを受け付けていません。 九州