世界に夢を見た男・前

さて山中鹿之助の話の最後として、とある男の話をしましょう。これは山中鹿之助の家臣でもあり、鹿之助が亀井家から迎えていた養女を妻にした、即ち鹿之助にとっては娘婿にもなっていた男・亀井茲矩の話です。

彼は尼子再興が失敗した後は豊臣秀吉に仕えており、毛利攻めで功を上げ鹿野城を与えられています。が、この鹿野城は秀吉が毛利家と講和してしまったためにお流れとなりました。なので秀吉、代わりに別の恩賞を与えようと何が欲しいか聞きました。これに玆矩、こう答えました。

「では琉球を頂きたい」

当時、琉球はまだ外国でした。これに困った秀吉、こう返しました。

「よし分かった。じゃあこの「琉球守」をくれてやろう」

と、琉球守(りゅうきゅうのかみ)と書いた扇を渡しました。秀吉がこの時本気で琉球をくれてやろうと思ったのかどうかは分かりませんが、おそらく扇を渡す事でお茶を濁したのではないかと思います。

ですがその後、玆矩は亀井琉球守と名乗り、呼ばれるようになっていきます。そしてこの時貰った扇を肌身離さず持ち歩き、その上秀吉のお墨付きをもらった玆矩は何と、秀吉に許可を貰って琉球攻撃を行おうとしたまでした人物です。余程外国に憧れを抱いていたのではないでしょうか。