今鎮西の暗殺・後

それでも興経は簡単には諦めません。潰された刃の刀を振り回しながら寄せてくる数十人の敵を刀で殴り倒していきます。しかし多勢に無勢、後ろから腰を矢で射られてしまいました。

ここで明石という侍女が矢を抜こうとしたのを見た興経は「後ろに抜くんじゃない。前へ押し抜け」と命じました。 明石が矢をつかみ前へ押すと、矢先が腹を突き破ったので自ら鏃をつかみ前へ引き抜きました。なんか明石さんも十分に思い切りがいいと思うのは私だけでしょうか?

「お前はうちの家来どもより頼もしいな。お前のことはあの世でも忘れないぞ」

興経は明石をそう褒めると、またも戦い続けて天野隆重までたどり着きました。彼を組み伏せたものの周辺の討手に引き剥がされ、ついに首を挙げられました。 嫡男の千法師も殺され、藤原南家吉川氏はここに滅亡します。

一方、先に言った豊島内蔵丞も暗殺されるところを何とか毛利家より脱出。毛利の警戒線を突破して帰還したのだが、彼は主の最期には間に合いませんでした。豊島は腹を十文字に掻き切り、その場に介錯する者がいなかったので自ら喉を押し切って自害したといいます。

しかし壮絶な最後ですね。途中の発言といい、何だか中国の覇王・項羽を思い起こします。ともあれ吉川興経を排除し、その後は吉川家は元就の次男・元春によって統治されていくのでした。