今鎮西の暗殺・裏話

さて吉川家を乗っ取るためにと言うと聞こえは悪いですが、前当主であった吉川興経を謀略でもって打ち取ることに成功した毛利元就。

興経は武勇の誉れ高い武人ではあったものの、その性格には難が有り、日和見で動くことが多くあちらこちらと場合によって着く味方を決める人物でありました。その上譜代の家臣たちを冷遇し、自身の気に入った新参者たちを寵愛していたのでついには家臣からも見放され、元就の息子吉川元春を新当主に迎え入れられて強制的に隠居させられただけでなく、最期は元就の策謀の元戦国の世に散りました。

その最期は前回までに語ってきたと同じく、部下たちに裏切られ、騙し討ちで打ち取られてしまいました。裏切りを重ねてきた人物には、それ相応の最期しか待ってなかったというとどこか物悲しいものがあります。

これはその興経の最期の最後の話です。興経は打ち取られ、首を取られました。しかし興経が普段から可愛がっていた白い犬が飛び出してきて、主の首を咥えて逃げたのです。主の首を抱えて逃げた犬はその後、逃げおおせた先でその首の傍を離れず、果に餓死をして亡くなりました。今もその犬と、首塚が残っています。

裏切り続け、裏切られた吉川興経。彼にもまた、最期を共にしてくれる存在が確かにいたのです。