元就とその婿・前

さて毛利家と宍戸家の婚姻政策により、宍戸隆家と元就の娘である後の五龍局は結婚。夫婦となりました。色々な過去がありましたが、これ以後、元就の婿となった隆家は毛利家にも元就にもよく尽くして働いたようです。

しかし元就といえば戦国の世きっての謀将、そんな元就は婿の宍戸隆家から見てどのような人物だったのでしょうか?

それは両家の結婚より遥か未来の出来事です。ある時、吉川元春から義兄である隆家へ年松彌六という者が使者として訪ねてきました。彼は五龍城に登城して元春からの口上を申し上げようとすると、隆家は書院の床に御位牌をかけてその位牌の前に座っていました。奇しくもこの使者が訪れた日は、元就の御忌日だったのです。

隆家はこの彌六を側に召して直にその口上を聞くと、この様に言いました。

「今日は元就公の御忌日であるので、出家などを招いて焼香をするのだ。これについては家来たちには焼香を免していないのだが、そなたは元春殿の名代としてこちらに来ているので尊霊に御焼香されるように」

これに彌六は恐縮し辞退しましたが、隆家が再三に焼香を進めるのでお次の間に立って別の香炉に火を入れ持参し、書院に戻って元就の位牌に焼香しました。