元就と間者と三つの刀

天文23年(1554年)、出雲では尼子晴久による新宮党粛清が起こります。この事は以前にも解説しましたが、今回はそれに関する毛利元就の逸話をご紹介していきましょう。

さて北条早雲が座頭などの盲目の者達を自領から追放すると言う例を出し、退去する盲目の者達に自らの間諜を紛れ込ませて各地へと散らしたのは有名ですが、これと同じような話が毛利元就にもあります。

元就は4人の琵琶法師を座頭衆という間諜として代わり代わり周辺に派遣し、各地の領主の人物やその地の情報を得たり、時には偽情報を流させるなどもしていたといいます。一節には、これが尼子国久の新宮党粛清にも一枚噛んだとも言われています。

その座頭衆の一人に勝一と言う名の琵琶法師が居ました。勝一は琵琶の弾き語りや弁舌に優れるだけでなく、病で盲目になる前は勉学に励んでいたので博識でもありました。ある日、元就は先祖伝来の刀が3つに割れると言う夢を見て不吉に思い、勝一に相談しました。夢の内容を聞き、勝一はそれについてこう答えたと言いいます。

「殿が見た夢は吉兆にございます。何故なら3つの刀は刕、変じて州、すなわちクニとなります。故にこれは殿が将来一つの国の主となられることを意味しているのです。」

それを聞き、元就は安堵するとともに大いに喜んだといます。州とどう似ているのかは良くわかりませんが、昔、刕は州の異体字として使われることがあったらしいのでそこから来た逸話のようですね。