元春の嫁取り(尚、周囲への相談はナシ)・中

その頃、熊谷家でもその娘のことが大問題になっていました。熊谷信直は子煩悩でもあったとも言われていますが、この娘の行く先を心配していました。娘も年頃、そろそろ嫁にやるなり婿を取るなりしたいところですが、相手がいない。親の欲目もあるかもしれないが、器量はそこそこいい筈だ、しかし・・・・。

この娘、実はとんでもなく醜女だったのです。言ってしまえばブスだったのです。それも近隣諸国に有名だったとまで言われているのだから色々と酷すぎます。この時代の娘は同盟国を作るための存在、嫁の行き先がないとなると困った時に頼る相手ができない。いやいや、子煩悩だった信直から見れば修女と噂されて嫁にも行けない娘がどれほど可哀想だったことでしょうか。

元春が熊谷家とその娘に目をつけた最大の理由がここであったと言われています。よく直情的で戦一辺倒のような人物だと思われていますが、元春は文芸にも明るい頭の切れる人物なのです。

元春は熊谷家が抱えている問題の娘を嫁に貰ってやることで、熊谷家が恩義を感じて自分や毛利家に尽くして働いてくれるのでは、と思い立ったのです。少々打算が過ぎるかもしれませんが、ここは戦国、政略結婚などよくある事です。

こうして元春は父親の元就にも相談なしに熊谷家に単身乗り込んだのでした。