大杉抜右衛門

毛利家と尼子家の争いの中にある逸話の一つですが、ある時尼子が和睦の使者として大杉という豪傑を使いによこしました。この男、周囲ニ尺もある杉の木を引き抜いたというので大杉抜右衛門などというちょっと聞くとふざけた名前を名乗っていました。大杉を迎えた元就はこういいました。

「お前が剛力だということはよく知っている。そこにある大杉を引き抜いてくれまないだろうか?」

そう言うと庭にある大きな杉を指さします。しかしその杉は木の幹があまりにも大きいので、さすがの大杉も「とても抜けそうにありません。」と断りました。すると元就、

「そうか、毛利家には、その木を抜ける者がゴロゴロしているぞ」

というと側にいた小柄で痩せた男に

「お前、あの杉を抜いてみよ」

と言いました。小柄な男は杉の木の前にいくと、なんといとも簡単に杉の木を抜いてしまったでので尼子の使者達はみんな呆気にとられました。実は前日に元就は杉の木の根を全部切ってしまって、どんなに力の無い者でもすぐ倒せるように細工をしていたのでした。しかし大杉が元就の申し出を受ければ失敗、厳島の合戦以来の元就、一世一代の賭けだったのです。

しかし国に帰った大杉は

「毛利には私以上の力持ちがたくさんいて、とてもかないません」

と報告したといいます。