天性無欲正直の人

さて謀聖と呼ばれた尼子経久。雲州の狼とも呼ばれますが、特にその智謀策謀から毛利元就、宇喜多直家と三名合わせて中国地方三大謀将とも呼ばれます。この面子で並ばれると命の危険しか感じませんが(約一名のせいで)

その一方で、尼子経久という人物は「天性無欲正直の人」という評価も受けています。これは尼子経久にあった、不思議な癖が由来しているのかもしれません。

尼子経久という人には不思議な癖があり、これは自分の持っている物を誉められると、それを褒めた人に上げてしまうというものです。この癖の為経久は冬だというのに薄い小袖一枚でいるという事もままあり、家臣達は「殿さまの者を褒めないように」と囁き合っていました。

さてそんな経久の城には立派な松の木がありました。これを見たとある家臣、「流石に松の木は上げる事が出来ないだろう」と思って、その松の枝ぶりの見事さなどを誉めました。それに気を良くした経久は松を引っこ抜かせて上げようとします。これを家臣が必死に断ってその日は詮なきを得ました。

が、その翌日。

家臣の家の前には大量の松の木を薪にしたものが送り届けられていました。これを見た人々は「勿体ない事だ」と言い合ったが、経久自身は気にしていなかったそうな。褒められたら気が良くなって何でも上げてしまうという、尼子経久の謀聖らしからぬ不思議な癖でした。

しかし褒めた家臣、涙目だったでしょうね。