山中鹿之助の母・前

さて尼子家を語る上で外せない人物である山中鹿之助、山中幸盛の話をしていきましょう。これは山中鹿之助がまだ幼い頃の逸話です。

幼い山中鹿之助は仲間達を集めて遊んでいました。あの勇将にもまだ可愛らしい子供の時期があったのです。さてある日、仲間達と鹿之助は戦ごっこをしていました。戦ごっこはその名の通り戦の真似ごと遊びです。尼子方と敵方に分け、最終的に尼子方の方が勝ちで終わります。尼子領内の子供達の遊びですからね。しかし鹿之助がこの遊びをしている事を見た母親は鹿之助を激しく怒りました。

「お前は一体何という事をしているのですか!」

「戦のごっこ遊びです。いけませんか?」

「その戦ごっこをする事を咎めているのではありません。でも仲間達を尼子方と敵方に分けた事はよろしくない。お前は尼子方でいい気持ちなのかもしれませんが、敵方に分けられた子達はどんな気持ちでいると思いますか?」

母親は鹿之助をそう叱りつけたと言います。また鹿之助の母親は我が子の仲間達がみすぼらしい恰好をしていると、新しい木綿の布入れを作ってやって着替えさせてやったとも言われています。そしてお腹がすいている子達がいると、食事を食べさせてやったと言います。