戦国の異名と、魔王・6

光和がそう頼むと、法師は琵琶を奏でゆうゆうと歌いだします。その音色も歌声も一級品であり、光和もこれは本物の人間ではないかと思いました。

(いや待てよ、化け物は人を騙すと言っておったな。ならば油断はできん、だが切った後で人間であってはどうしようかのう・・・・よし、とりあえず縄で縛って捕まえておこうか)

考えるや否や、光和は一気に盲人に組み付きました。すると盲人は悲しい声泣き始めました。

「なんと無体な事をなさいますか。私は別に自分の命が惜しくてこのようなことを申しているのではございません。ですが立派なお侍様である貴方が目の見えぬ私相手にこのような事をしては末代までの恥でございましょう!」

これを聞いた光和。やっぱり本物の人間であったかと焦ります。近隣に名が知れている武田光和ともあろう人がこんなことをしては皆の笑いものです。

(よし、一思いに絞め殺そう)

何という判断か。焦っているのだと思いたい。

証拠隠滅を図ろう考えた光和に、法師は慌てて叫びました。

「おい立派な侍が証拠隠滅とかふざけるな!」

「何でおれの考えが分かったんだ!?やっぱお前化け物だろ!俺の勘は間違ってなかった!!!」

そうして光和が力任せに首を絞めると、老人は血を吐いて死んでしまいました。翌朝、老人と思われた者はやはり化け狸で、背中には一本の毛もなく、二歳の子牛ほどもある大きさであったと言う。

良かったのか悪かったのかの判断は途中でやや微妙なものとなりましたね。