戦国の異名と、魔王・9

さて自らを弔おうと庵を立て、日夜念仏を唱えてくれていた僧を追い返して下山させた武田光和。いったい彼はどうしてしまったのか。むしろ地獄がバトルフィールド的にお似合いなので現世にとどまらずあっちに行ってほしい

さてそれからまた暫くして、今度は日蓮宗の僧が一人この山に登りました。僧は法華経一千部を読誦し、その武田光和公の菩提を弔いましたが、そこに葦毛の馬に跨った光和が空中から現われ、かの僧に向かって怒鳴りはじめました。

「一切のお経はくそを拭う紙、三世の仏はくその中の虫である。そのきたない紙の中の字を読んでなにになるというのか。そのような事はやめて歌でも一つ歌え」

この物言いにの僧は、自分は三十年余りお経を読み、いろいろの功績を積んできた者だ。もしこの功力が空しくないものであるならば魔性のものを退けたまえ、と諸仏に念じるとその念が届いたのか、現れた化け物(いや光和だけど・・・)は雲路をさしてのぼっていったと言います。

しかしどうやらこれでも成仏していなかったのか、この後も武田山はたびたび怪しい事が起り、木こりも炭焼きも山に近づかないようになったということです。

既にして二人の徳ある僧を追い払ってしまった光和の亡霊。彼の話はもう少し続きます。死んだ後なのに