立花宗茂の婿養子入り2

「宗茂よ、これは父よりの最後の手向けである。受け取るがよい。」

そう言って紹運が取りだしたのは、自身の愛刀・備前長光でした。宗茂がそれを受け取ると共に、紹運は息子に父として最後の薫陶を授けます。

「よいか宗茂よ、これよりお前は道雪様の息子になる。もし私と道雪様が争うような事あれば、その時お前は自ら先陣を願い出てその刀で私を討ち取りに来るのだ。」

「そしてその際にもしお前が古い親子の情に流されて私を討ち取れぬような事あれば、道雪様の元へ戻るようなみっともない真似は許さぬ。その場で、その刀で自らの腹を切るように。」

「そしてお前が何か不覚を取って道雪様より離縁される事があったとしてもこの城へ戻る事は許さぬ。その場合も潔く腹を切って果てよ。」

織田信長の妻・帰蝶姫より輿入れの際に短刀を父・道三より賜って「夫がうつけならば刺し殺して戻ってこい」と言われましたが、こちらは中々にスパルタな教えですね。しかし父の教えの意味を悟り、宗茂はその刀を受け取ります。そしてそれを見届け、紹運は最後にこう告げました。

「よし。それでは最後の教えだ。もし私がお前より早く死ぬ事あればその刀を形見と思い、我が教えに従って生きるように」

こうして親子は、最後の別れをしたのであります。