立花道雪への感悦の使者5

さて立花城に帰る道雪ですが、勿論再び秋月らの敵領地を通って帰らねばなりません。道雪一行は諸勢に先立って妙見獄を通り過ぎていきます。ここ問註所では防衛の為に城に兵達は終結していたために人の姿はなく、問註所の領内は荒立つ事も無く静かに進んで行きました。そして次に通るのは秋月領内。ですが秋月領内の者達は先立っても道雪にやられた事と、普段から道雪に手ひどくやられている事もあって、藪の中に隠れて通り過ぎていく道雪達を監視するだけでした。道雪が行くだけで秋月領内の者達が道の左右に隠れる様は、まるでモーゼの十戒のようですね。

こうして道雪は行き道以上に何事も無く立花城に帰りついたのであります。正に雷神の面目躍如という振る舞いに、黒木で田原親家につき従っていた豊後の者達は口々にこの道雪の振る舞い、行動を称えて感嘆し、

「大軍勢で合戦をして敵を蹴散らし、ようやく通れるような場所であるのに僅か300人ほどの人数で、しかも敵領地の12、3里を心静かに、道すがら遭遇した敵達を打ち捨てながら通ってしまうとは。しかもそうしながらも味方に負傷者すらいなかった。道雪公はなんと武士冥加の強い侍なのであろうか。もしやあの方には軍神が乗り移っているのではあるまいか。」

と、言い合ったそうです。

立花道雪と感悦の使者の訪れ、そしてその後の振る舞いでの一幕でした。