粛清の件、息子隆景へ。(長いversion)中

お次は文章を読みやすく、訳したものです。

又四郎(隆景)へ 元就より

児玉に聞いて大体のことは分かった。お前が言っていることはよく分かるよ。

今更言うようなことでもないし、前々から言ってることだけど、堪忍していれば物事は悪いようには絶対に進まない。だから我慢しなさい。

お父さんなんか井上の者達に、興元が亡くなってから40年間も、家中の皆がまるで主人に仕えるように井上一族の言いなりになっているのを我慢してきたんだ。

その悔しさは言うに堪えないと思ってほしい。

40年の間ずっと耐えてきたことは、今更言う必要もないだろう。

ただ、私も年を取り、このまま無念を晴らさずに死ぬのはなんとも我慢できないと思ったからこそ、この度の処罰を下したんだ。

でもね、どんな事も考えなしに適当にする事は絶対にしてはいけないよ。

第一、その家の主人が家臣を粛清することは手足を斬るような事であって、してはいけない事の中で一番悪いことなんだ。やってはいけない事としてこれよりひどいことはないぞ。

井上一族の事はああでもしないと家を保つことができなかったから、どうしても避けては通れない道だったからこそやったんだよ。

お前の言い分は、大体はわかっている。

でもお前に関して言えば親類や家臣の方達はいずれもお前によく従ってくれているじゃないか。

それに皆、他の家の者達とは比べ物にのないぐらいよく働くと聞いているよ。家臣に大切なのはそういうことなんだよ。

そういう事だから、些細な事でとむっとして腹ただしく言うのは絶対にしてはいけない。

皆の意見に合わない事や道理に適っていない事を言ってしまうような事は、一番避けなければならない事だ。

今までのところ、御家中の皆さんはお前を誉めていると聞いているよ。

お前を悪いようには少しも言っていないようなのだから、お前が万一家中の事で道理に反するような事を言ったりすることは

もってのほかだから、そういう間違ったことがないように見下した言い方をしないように、よくよく気をつけなさいね。