義死二つ・前

さて前回、大内義隆の趣味について話しましたが今回はその「趣味」について起こった事件の逸話です。

大内義隆の家臣に、宮部久馬介、浅茅鹿馬介という二人の小姓がいました。義隆はこの二人を別して大切にしていたのですが、ある時とある女中からの中傷によりこの鹿馬介を討つようにと、義隆より宮部久馬介に命が下されました。

これを承った宮部は、自分の宿舎に帰り考えました。

「なんと黙し難い仰せを被るものだろうか。私は鹿馬介と一緒に奉公仕り、片時も放れたことはなかった。本当に入魂浅からぬ関係であるのに、彼にこんな事を一言も知らせずして空しく討ち果ててしまえば、草葉の陰で自分たちの契りはこんなものではなかったはずだとどれほど恨むだろうか。彼に知らせるなら我も諸共に死ななくては面白くない。どうせここで死ぬのも主のためなのだから、悪いことではなかろう」

そう思いを決めた宮部は浅茅の部屋へ行き、彼に言いました。

「私は大変情けなき仰せを被ってここに来た。義隆公より、それがしにあなたを討って来い、との仰せを受けたのだ。しかし日頃から、親しくしていること他に異なる程の仲であるのに、一言もあなたに知らせず、空しく討ち果たしては、冥土にて私は必ず恨まれるでしょう。その上、あなたを討った私のことを、朋輩たちがどのように思うか、如何とも辨え難い。こうなればあなたと刺し違えて死出の旅路に赴こうと思います」

続きます。