義死二つ・後

さて浅茅はこれを聞くと

「さても日頃から互いをなおざりにしない関係であったのが、今ここに現れたのであろう。あなたの心底は長く後の世までも忘れてはならない。そしてかの女中の中傷に対して、真実を主君に申し開きをして死のう、と思ったが、女を相手に論じても意味はないだろう。私は自害をしようと思うのであなたには介錯を頼みたい」

これを聞いた宮部は大いに笑ってこう返しました。

「私の胸中を定めないまま、どうしてこの事をあなたに知らせるでしょうか?仏神三宝も御照覧あれ!私はあなたとともに、相果てなければならない!」

浅茅、このように言われ「それならば仕方がない。であれば…」と、二人共に思い思いにその意趣を細々と書き置きして川の中瀬に行き、二人はしっかりと体を組んで川の中に飛び込みんで、白波と消えました。彼らの死を人々はみな、なんと殊勝な義死を遂げたものか、と褒めぬ者は居なかったといいます。

そして彼らの書き置きを見て悔いた義隆ですが、もはや取り返し松きません。彼は中傷をしていた女を召し出すと「あの者たちの追善にせよ」と彼らが入水した中瀬にて、女を簀巻きにして水の中に投げ捨てたと言われています。

しかし大した調べもしないで二人を死に追い込んでおきながら、今更犯人を殺してどうなんだ・・・と思ってしまうのは現代人故ですかね。義隆の最後の行動の為に、何とも後味の悪い逸話になってしまった話です。