雷神様と小姓達

今回は立花道雪とその周囲の世話をしていた小姓達の逸話です。下半身不随になった道雪は、日頃から身の回りの世話を小姓達に任せていたようです。戦場では鬼のようであった鬼道雪の、その日常を窺いしれる事の出来る逸話です。

さてある日、道雪の屋敷を一人の客人が訪れました。接客をするのは道雪の小姓達の仕事です。みな道雪に見込まれて選ばれた者達でしたが、その内の一人が緊張の為か客の膳を落して、料理を座にぶちまけてしまいました。意図せず行ったとしても客人に対しての粗相は無礼になります。戦国の世はこのような些細な事から戦になる事もままあるのです。小姓は非礼を詫び、その場で切腹を行おうとするも道雪に止められます。

「私の小姓が粗相を致した事、誠に申し訳なく思います。ですがこの者は戦の場においては、体の動かぬ私に代わって敵に立ち向かっていく勇敢な若者です。戦の粗相ならば致し方ないが、接客で行った粗相ならば主人である私の責任です。どうぞお許し下さい。」

そして道雪は小姓に代わって客人に頭を下げて非礼を詫びました。その主従のあり方に感嘆した客人は、その場で小姓の粗相を許したそうです。

厳しいだけでなく、ケースによっては部下の失態に頭を下げる。正に理想の上司のあり方を教えてくれる、道雪公の逸話です。