鹿之助と狼ノ介の一騎討ち・2

狼ノ介は秋上伊織介の非難を無視します。ここは戦場、勝ちさえすればよいのです(あながち間違ってはいない)。そして二の矢をつがえて鹿之助を撃とうとした瞬間、狼ノ介の持っていた弓の弦が切れました。とっさの事に狼ノ介は我が目を疑いますが、それを見た尼子の兵達は狼ノ介を笑って囃し立て始めます。

「愚か者め!山中鹿之助の片腕、尼子十勇士が一人・秋上伊織介は『養由(中国の伝説的射手)の再来』とまで呼ばれる弓の達人!そのような事も知らずして鹿之助と立ち会おうとは身の程知らずにも程があるわ!」

なんと伊織介の討った矢が狼ノ介の弓の弦を見事射ぬき、立ち切っていたのです。

「ふん!ならばそちらの要望通り槍で勝負をつけてやろう!」

いきなり鼻っ柱を折られながらも狼ノ介は諦めない。虚勢を張りながら自らも川へ馬を進めます。こうして鹿之助と狼ノ介は川の中で槍を討ちあい、一騎討ちを始めました。しかし猛将として名高い鹿之助、その槍の腕前は凄まじく、繰り出されていく妙技の数々にいつの間にか狼ノ介は防戦一方となっていきました。

「待った!これでは勝負がつかん。馬を降り、組打ちにて勝負しようではないか!」

ここで狼ノ介、再び戦い方を変えて戦おうと言い始めました。