母里太兵衛と栗山利安

栗山利安の話が出てきているので、母里太兵衛こと母里友信の事も少し語っておきましょう。

母里太兵衛はは黒田家の武士です。無類の大酒飲みで有名で、福島正則にすすめられた大盃の酒を見事に飲み干し名槍・日本号を奪い取った賜った逸話は『黒田節』・『筑前今様』として今も尚語り継がれています。この事から太兵衛は「飲み取り太兵衛」とも呼ばれています。黒田官兵衛は栗山利安と同じく太兵衛を重用し、生涯で76の首級をあげた家中随一の猛将として黒田家の筑前入国後に18000石を得ました。

ですが、太兵衛は無分別で向こう見ずな、わがままな性格だったようです。

その為に若い頃、官兵衛は栗山利安を「兄と思い、兄弟一体となって奉公せよ」と命じました。太兵衛は主君の息子である長政と度々衝突していましたが、その度に利安によって仲裁されていたようです。太兵衛にとって、利安は世話になった大切な兄貴分だったのでしょう。

太兵衛は晩年、利安の見舞いを受けた際に。「これまではおこがましいと思い口にはせなんだが、御身の恩により人となることができた」と言って手を取り共々に号泣したと伝えられています。この逸話にはいつ見てもホロリとさせられますね。荒くれだった自分を正しく導いてくれた人物が、利安だったのでしょう。

栗山利安の人柄を感じると同時に、的確な人材を選びぬいて指導させた官兵衛の先見の目も窺わさせる逸話です。