小牧長久手前の鬼武蔵

さて、小牧・長久手戦いで戦死し、敵方どころか味方からまで涙を流して大喜びされてしまった鬼武蔵こと森長可。織田家の重鎮の一人であり、異例の出世頭であり、織田信長から非常に寵愛されていた長可がなぜ、織田方ではなく羽柴方についたのかは分かってはいません。ですがその小牧・長久手の戦いの前に、秀吉方と長可にはこんな逸話が残っています。

秀吉は長可に使者を遣わし、自分に味方すれば駿河・遠江を与える、という条件で自分の方に引き込もうとした。が、鬼武蔵これを言われてこう返した。

「甲斐もよこせ。」

「いや無理です。」

この返答を聞き(実際にはもっと詳しいが)、長可はハラハラと涙を流し始めた。そして曰く、

「じゃあ甲斐の代わりに兼山と駿遠を下さい。」

「だから無理だっつの。」

さらに要求し始めたが断られた。当然である。使者が帰った後、長可は「自分は秀吉が出した条件で良かったんだけど、部下の皆にも城を持たせて上げたかったんだ」と語ったそうである。

言っちゃあ悪いが森長可が駿河と甲斐を貰って何するかと想像させて頂くと、天下争いに名乗りを上げるとしか想像できないのだが・・・後に秀吉、長可の討死を聞いて「これで俺も天下とれるわ!」と大喜びしたのはこの逸話も関連していたのかもしれません。

森長可、欲張ったのは部下の為なんだからね!というお話でした。